長者ヶ森 のあらまし(秋吉台の盛者必衰)

CIMG1209                秋吉台東部に唯一、森が残っています。60余種の木々が生息する、原生林と言われています。中には古井戸の跡、女郎が池(泉)、祇があり、屋敷の跡が伺われます。

長者が森の由縁は次の3点があるようです。

①武将太田芳盛が壇ノ浦の戦いの跡にこの地を徐々に制したという説があります。4代目ののときに、お家騒動があり没落しました。江戸時代に大田氏の子孫が屋敷跡に植樹したという話が残っています。

②鉱山で栄えた商人の子孫が植樹。付近には青景銀山、赤小野銀山長登銅山がありました。

③交易で栄えた商人 美東町大田とびの巣地区(長者が森から4km離れたところ)の前野家が長戸仙崎の街道交易で長者になったという説があります。長者が森の中の祠は前野家が祀ったという説があります。

昔話も残っています。福の神が憑いた女性と結婚した、貧乏男性がいました。贅沢に慣れてしまい福の神の怒りを買いました。神は米を虫や蝶に変え立ち去ってしまい家は没落したという話です。

落とし穴

 

カルスト台地の岩の成分と化石 (秋吉台の科学)

◎成分

石灰岩は主に炭酸カルシュームという成分からできています。台地に降る雨は空気中の二酸化炭素を含み込んで弱酸性の水となります。さらに土の中を通るときに多くの二酸化炭素を含みます。この水が炭酸カルシュームでできている石灰岩に触れると化学反応をおこし、石灰岩を少ずつ溶かします。地表を流れた水は石灰岩の割れ目から地下にしみ込み、溶食作用が繰り返され、長い間に、凹地(ドリーネ、ウバーレ、ボリエ)や鍾乳洞を形成します。このように石灰岩が溶け込んでできた凹凸のある地形や地下の洞窟をまとめて、カルスト地形と呼ばれています。

秋吉台は大昔(石炭紀~二畳紀)南海の海上に見え隠れするサンゴ礁で、それを証明するのはカルスト台地の石灰岩から出てくる化石です。フズリナをはじめサンゴ、ウミユリ、腕足類、三葉虫、アンモナイト、二枚貝、巻貝などです。特にフズリナは重要で諮詢化石になっています。殻に石灰質があり単細胞生物です。散策中に欠けた石の中にあることが良くあります。

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秋吉台の名景色(秋吉台 六景)

◎冠山から見る、地獄台の景色CIMG1083

秋吉台の中で一番カルスト地形らしく、羊岩が群立している。とても壮大な気持ちになる場所です。

◎地獄谷の案内板を少し進み地獄谷が見え出す位置からの地獄谷CIMG0336

春の野の焼きのあと、草木が焼かれ谷もこげ茶色一色となり、さながら地獄を見ている気がします。。臼鉢状の底には林と葉が焼けた茎だけの笹が郡生しています。

◎秋吉台東部のドリーネ耕作地付近より見た北東方向にある丘CIMG1218

なぜか嵐の丘をイメージする、気分が落ち着き、パワーをもらえる景色です。草原の丘に聳え立つ20数本の木が凛々しくたっています。

◎長者が森の駐車場から見た耕作地の景色

CIMG1015      耕作地は緑の信じられない急勾配に作付けされており、周りよりさらに鮮やかな緑でハート型です。トラクターで耕しているのを偶然見ましたが、転がりそうでした。

◎ドリーネ耕作地を北西に上った平らな地点より地獄台、烏帽子だけを臨む景色。CIMG0468

立っている場所が深い急峻な谷の上にあるため、グランドキャニオンのミニミニ版の崖に立っている雰囲気を味わえます。(私はグランドキャニオンに言ったことはないですが。)その感覚をもって、対岸の二つの山、北山、烏帽子岳を見ると心やわらかな静寂な気分にさせられます。

◎龍護峰より見た景色

秋吉台で一番高い山(425.5m)からは全方位パノラマの景色です。秋吉台の最西部にあります。東方に目をやると秋吉台の山、岡のうねりが一望に見え秋吉台の雄大さを感じることができます。星の観察にこられる方もおられるそうです。10200003                  星  CIMG1094       全方  位眺めると中でも変わった景色も見ることができます。西方向に目をやるとセメントメーカーが採取した後の三段にも四段にもなる灰白色の絶壁があります。自然の中の人工物。秋吉台のイメージを壊す景色ですが違った意味での絶景です。

散策時の危険性と対処方法 (秋吉台での予防・知識)

ドリーネの危険性は説明しましたが、ほかにも危険なことがあります。危険なこと、対処方法を述べたいと思います。

○スズメバチ スズメバチは木や家の中に巣を作りますが、地中に作るものがいます。夏秋に活発になります。

・予防  巣がわかれば、近寄らない。服装はできるだけ明るい色にすること(  黒系統の色はスズメバチの攻撃対象になりやすい)                                        症状 激痛、腫れ、アレルギー反応など。全国では年間数十人の死者が出ている。

処置 早急に病院で治療を受ける。

○マムシ 体調60cm程 頭部が三角形で身体は大きく丸い模様がある。踏んだりし                      ない限りまず攻撃されることはない。

・予防 見つけても近づかない。

・症状 激痛 腫れ

・処置 噛まれた蛇の特徴を確認して病院で治療を受ける。

○ヤマカガシ 体調1m程 赤色、黄色、黒色の派手な色の蛇 性格はおとなしく、手を出さない限り噛まれることは無い。毒牙は奥にあるので深く噛まなければ毒は入らない。

・予防 見つけても近づかない

・症状 歯茎からの出血、全身の皮下出血

・処置 噛まれた蛇の特徴を確認して病院で治療を受ける。

○マダニ類 体調3mm程 野生動物の血を吸っている。人間にも吸着することがあり   肥大化し、初めて気づくことが多いい。ここ最近、ダニによる感染症が問題となっている。

・予防 防虫スプレー、シャツは長袖、色は明るい色のもの(ダニ等の付着を確認できる)

・症状 吸着されると発赤、腫れ等が起こる。痒みは少ない

・処置 引っ張ってダニを除去するとダニの一部が人体内に残ることがあるので皮膚科で治療を受けること。

○クマ 秋吉台でまず出ることはないと思うが体長110cm程 植物の実や昆虫などを食べている。生きている動物を襲って食べることはないといわれている。

・予防 注意すべきは出会い頭になった時で、ラジオ、鈴などを鳴らして自分の存在を知らせることによって予防できる。至近距離で出会ったときには、荷物などを置き、注意をさらしてその隙に逃げる。

・処置 けがを負った場合には病院で治療を受ける。

けがをした時

カルスト地形にある無数の岩は尖っており、さらに足元が不安定なところが多く潜在的にけがをしやすい環境にあります。けがをした場合は通りかかった登山者がいれば助けを借りましょう。症状によっては応急措置の後、携帯電話で119番に連絡しましょう。

○外傷の場合 まず傷口を水などで清潔に出血の度合いにあわせて止血する。きれいな布で押さえ上から圧力をかける。出血量が多いい場合は傷口より心臓側の動脈を強く抑える。

○捻挫 先ず患部を水等でひやす。患部を心臓より高くし内出血を防ぐ。患部をテーピングなどで固定する。

○打撲 内出血部分を冷やし動かさないように固定する。

○熱中症  涼しいところで身体を横にし、ぬれタオルなどで手足や身体を拭いて風を送り身体を冷やす。意識があればスポーツドリンク(水)を与える。

 

ドリーネの危険性(秋吉台の鉄則)

カルスト台地のあちこちに地面がすり鉢状にへこんだ所があります。これをドリーネと呼びます。ドリーネは地下の石灰岩が地下水に溶けた部分の上部が落ちこんでできたものです。散策の途中で道の横等に柵があるところには近づかないでください。厄介なのは、柵のないところにも、ドリーネがあることです。道に沿って歩いてください。また、窪みに不自然に蔓草(葛等)があるところは絶対に近づかないでください。さもなければ秋吉台の悠久の歴史に飲み込まれてしまいます。yama-3

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コースの案内(秋吉台への誘い)

chizu1①観光にやってきた人向きのコース。片道約15分。ただし普通の靴でしょうから足元、注意してください。石灰石の砂利が敷き詰めているところがあります。360度の秋吉台の景色が堪能できます。P3260055

②初級コース 展望台より若竹山を右に折れて秋吉台道路方向へ歩き長者が森へ行くコース。片道約50分。弁当を持って長者が森で休憩するのに持ってこいです。ビールなど一杯飲むのも最高ですが帰りの道が待っていますので、ほどほどに。CIMG1209

③山登りを体験したい人向き。龍護峰を目指すコースです。妙見原より谷を降り、降りた以上に登るタフなコースです。春、夏であればウグイスの鳴き声が疲れを癒してくれるでしょう。その後平坦な道が続きます。その後前に急な山(御鉢山406m)が現れます。さながら昔話の絵本に出てくるような山です。この山を登り降りすると後は軽い勾配の小道を行くと龍護峰(425m)の秋吉台一番高い山に到着です。9月頃には小道のススキの根元に寄生して花を見ることができるでしょう。片道約1時間20分。体力余裕のある方は西の西山(399m)に登ることをお奨めします。登り降り約30分。                                                                                                                                                             P5100515

④地獄谷コース これは春の野焼きのあと、一カ月しか歩けない特別なコースです。②のコースを歩くと長者が森の少し手前に看板があります。それに沿っていくと、さながら地獄を連想させる様な一面こげ茶色した地獄谷が現れます。獣道のような小道を降りるとちょっとした林があります・小道がわからない事が多く、その場合は熊笹を藪掻きして前進してください。その前方には急峻な壁がありそれを根性でよじ登っててください。後は小さな小道を歩き壮大な自然を堪能してください。西の西山の麓に着くと熊笹が生い茂りここでもまた薮掻で進み、西の西山の西側面にある小さな道に沿って歩き妙見原へと歩き展望台に戻ります。このコースは体力もさることながら精神力が必要です。かなりの達成感と自然の雄大さを感じるコースです。CIMG0336

⑤大正洞コース 秋吉台東方のコースです。長者が森駐車場より大正洞へと歩きます。このコースははじめ、谷を降り、登ることから始まります。登りさへ頑張れば後は概ね平胆で途中二つに分かれる地点がありますが同じところにたどり着きます。大正洞を示す看板の通り歩くと道の左に看板があります。その通り階段を下りて行くと大正洞に着きます。コンクリートの階段は苔が生えているので気をつけてください。このコースは秋吉台道路の西側にある北山、烏帽子岳のうねりの雄大さと谷の鋭さを左に感じながら、緑のじゅうたんを歩く素敵なコースです。

秋吉台の散策(心地よさをもとめて)

四季折々で顔を変える秋吉台の散策のすばらしさを皆様に知っていただきたいと思います。

第一に秋吉台に一歩踏み入るとかぎりなく心静かな雄大な空間に入り込んだ感じを受け取ることでしょう。それは秋吉台の持つ悠久なる歴史と草原と空とうねった草原の丘が織り成す絶妙なバランスがそうさせるのでしょう。草原にお仰向けになり、空を眺めると世界観が変わったり、さまざまなことをゆっくり考えられるかもしれません。               第二に3億2千年前に海の底から出現したこの広い台地を歩くことの悠久な歴史の流れに向かい合うことのすばらしさを感じ取ることができるでしょう。            第三に貴重な花・山野草・野鳥 が生息しています。翁草 南蛮ギセル等,等、特に草花に興味あれば写真集「秋吉台で出会った花」(中沢妙子)を携帯されればさらに楽しい散策になるでしょう。少しだけ秋吉台の歴史をお話します。                                 秋吉台は気が遠くなる3億2千年前(石炭紀のころ)までは一面サンゴ礁の海にありましたが、地殻変動により隆起し今の秋吉台を作ることとなったのです。その台地のサンゴ礁(石灰岩)が溶けてできたのがカルスト台地なのです。またそれら顔を出している石灰岩を眺めると羊のように見えることから羊岩とよばれています。また地下には秋吉台に降った雨により侵食されてできた、秋芳洞 大正洞等の洞窟が数多くあります。

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